コラム
公開日 2024.12.27
許容応力度計算を採用するメリットとは ③壁量や水平構面が適切な状態になる
【本コラムは2025年4月の建築基準法改正後の内容です】
住宅の耐震性能をどのように考え設定すればいいか、悩んでいる設計者の方は少なくないように感じています。
そもそも許容応力度計算と仕様規定違いは?何が違うの??少し紐解いてみたいと思います。
大前提として住宅だとほとんどが以下のいずれかに当てはまることになります。
木造建築物の場合、2025年の法改正後でも300㎡未満かつ2階建て以下であれば許容応力度計算が必要ありませんが、仕様規定を守る必要があります。
仕様規定とは、施行令36条~80条の3に規定する構造方法を守ることです。
許容応力度計算は仕様規定の上位に規定されていて、3階建てや面積300㎡超で必須となり、もちろん2階建てなど仕様規定のみを守ればよい建物にも採用することができます。
許容応力度計算(通称 構造計算)を採用するメリットとは?
③壁量及び水平構面の不足・過剰が明確になり、適切な状態にすることができる。
構造安全性の確認方法は【仕様規定】・【住宅性能表示計算】・【許容応力度計算】の3つがあります。
それぞれの計算方法の内容については木造構造計算ページを参照ください。
今回は、それぞれの計算で実際の強度の過不足がでるのですが、そのなかで壁量(鉛直構面)及び水平構面のに着目していこうと思います。
必要壁量について
仕様規定による壁量計算の方法として、算定式により建築物の荷重の実態に応じて必要な壁量を算定する方法があります。
2025年の法改正合わせ計算ツールが公開されており、その中で屋根材・外壁材・太陽光パネルの有無・階高・床面積などの諸条件から必要な壁量を算定しています。
しかし、ここには建物の形状が考慮されいません。
正方形で総2階の建物も吹抜けがある建物も一律面積で壁量を判断されます。
また、上下階の壁や柱の直下率も考慮されず、面積のみで必要壁量が判定されます。
このように様々な建物に対応する数値であるということはある程度、余裕をもって計算されていることが想定されます。
ここから分かることは、
構造的に有利な建物 正方形に近い形状、柱壁直下率が高いなどの建物では耐震強度が高くなる傾向となる。
構造的に不利な建物 吹抜け、平面不整形、柱壁直下率が低いなどの建物では耐震強度が低くなる傾向となります。
ということです。
一方で許容応力度計算は建物の形状が大きく計算に影響します。
構造的に不利な建物では多くの壁量を要求されます。
壁量に関しては、許容応力度計算をすることで主に「不足を防ぐ」ことができると考えます。
許容応力度計算は詳細である分、建物それぞれに対して最適な強度・材料を求めてくれます。
水平構面について
水平構面については仕様規定では告示691号でかなり簡単な規定しか設けられていません。
対して、住宅性能表示計算及び許容応力度計算では、水平構面の検証も行い耐震性能を評価しています。
水平構面の倍率で比較すると水平構面の各構面で同等の施工をした場合には、許容応力度計算の方が高倍率で検定できます。
例えば、24㎜合板N75@150の水平構面倍率を比べた場合
許容応力度計算 7.84倍
住宅性能表示計算 3.00倍
これはなぜかというと、住宅性能表示計算の方が簡便な計算であるため、安全側計算できるように与える保有強度を低くみているためです。なので住宅性能表示計算で水平構面がNGで解消するために補強していたものは、許容応力度計算では数を減らせる可能性があります。
水平構面という視点で比べると
「仕様規定は不足」というか規定がほぼ無いに等しい
「住宅性能表示計算では過剰な可能性あり」
「許容応力度計算では適正」
と考えることができます。
許容応力度計算は追加でお金がかかるし、手が出しにくいなぁと思われている方も少なくないと思いますが、2025年法改正により仕様規定でもそもそも設計コストが上がってしまうこと、仕様規定をはずして意匠設計面で自由度が増すこと、場合によっては許容応力度計算で工事費が削減できること、などメリットは多くあります。
他メリットについては下記記事を参照してください。
①耐震性能の裏付けが取れる。
耐震等級2・3に対応でき、各種認定を受けることができる。
許容応力度計算を行うことで、一部仕様規定を外すことができる。
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