コラム
公開日 2024.12.23
許容応力度計算を採用するメリット ①耐震性能の裏付けが取れる
【本コラムは2025年4月の建築基準法改正後の内容です】
住宅の耐震性能をどのように考え設定すればいいか、悩んでいる設計者の方は少なくないように感じています。
そもそも許容応力度計算と仕様規定違いは?何が違うの??少し紐解いてみたいと思います。
大前提として住宅だとほとんどが以下のいずれかに当てはまることになります。
木造建築物の場合、2025年の法改正後でも300㎡未満かつ2階建て以下であれば許容応力度計算が必要ありませんが、仕様規定を守る必要があります。
仕様規定とは、施行令36条~80条の3に規定する構造方法を守ることです。
許容応力度計算は仕様規定の上位に規定されていて、3階建てや面積300㎡超で必須となり、もちろん2階建てなど仕様規定のみを守ればよい建物にも採用することができます。
許容応力度計算(通称 構造計算)を採用するメリットとは?
①耐震性能の裏付けが取れる。
建築基準法で300㎡以下は仕様規定を守ればいいってなってるのだから、仕様規定さえ守れば強度の裏付けは取れているでしょう!
そう思う方も多いかもしれません。
答えは 半分正解 半分間違い です。
そもそも建築基準法とは目的で「建築物の敷地、構造設備及び用途に関する最低の基準を定めて~~」との記載があり、『最低の基準』であることが明確に示されています。
では『最低の基準』とは何か?建築基準法で一律の基準は示されていませんが、私たちが考える構造強度上の最低の基準は
大地震時に建物が倒壊するまでに中の人が逃げ出す時間を稼ぎ、倒壊による人的被害を出さない
だと考えています。つまり損傷しない、倒壊しない。ではないのです。
言い換えれば、建築基準法では地震や台風で突然倒壊することを防ぐような事項を中心に定めていることになります。
例えば仕様規定では床梁や小屋梁などの横架材の材寸についての規定はありませんし、横架材の仕口の固定についても告示で以下のようなアバウトな規定しかありません。
「その他の構造耐力上主要な部分の継手又は仕口にあっては、ボルト締、かすがい打、込み栓打その他の構造方法によりその部分の存在応力を伝えるように緊結したものでなくてはならない」
では、仕様規定の場合、梁せいや仕口の固定は何を根拠に決まっているのか。
それは、これまでの慣習や関わる担当や会社の経験によるところが大きいです。これでは仕様規定がある部分の強度は安全ですが、それ以外の箇所は明確な判定ができない状態となります。
半分正解としたのは、この仕様規定を守ることにより『最低の基準』である
大地震時に建物が倒壊するまでに中の人が逃げ出す時間を稼ぎ、倒壊による人的被害を出さない
を達成できるからです。目指す耐震性能が上記であれば目標性能達成となるでしょう。
半分間違いとしたのは、住宅の建築主が耐震性能を『最低の基準』で納得している場合がどれほどあるかという点にあります。
頻発する地震で我が家は大丈夫なのか、持ち家を持つ人ならだれしも不安になることでしょう。
目指す耐震性能が『最低の基準』ではない場合は、仕様規定だけを守ることが正しいことにはなりません。
では許容応力度計算ではどうか。
仕様規定の項目を含む、建物すべての材料、接合部が建物に作用する外力に対して安全かを検討します。
さらに外力(地震力)を1.25倍、1.5倍に設定することでより強い地震に耐えることができる建物を設計することができます。
それが耐震等級2、3になります。
全ての部材、接合部を検定するので、仕様規定に比べ詳細な計算で強力な裏付けとなります。
地震大国日本で提供する住宅に耐震性能をプラスして御社商品の付加価値を高めてはいかがでしょうか。
他メリットについては下記記事を参照してください。
耐震等級2・3に対応でき、各種認定を受けることができる。
許容応力度計算を採用する他メリット③
壁量及び水平構面の不足・過剰が明確になり、適切な状態にすることができる
許容応力度計算を行うことで、一部仕様規定を外すことができる。
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