コラム
公開日 2024.12.27
2025年建築基準法改正 ②構造規制の見直し
2024年からすでに業界で話題沸騰中のアレ
2025年の建築基準法改正
を少し紐解いてみたいと思います。
【構造規制の見直し】
木造建築物の壁量計算、柱の小径等に関する基準の見直し
木造建築物について近年、省エネ性能のニーズが高まりによる断熱材の重量化、トリプルガラスサッシ、太陽光発電設備の設置が増え、建築物が重くなったことで構造耐力の見直しが行われました。
現行法令では「軽い屋根」「重い屋根」の区分により必要な壁量や柱の小径を算定していましたが、改正後、壁量計算は各階の建築物に生じる地震力から算出する式、柱の小径は床の荷重によって算出するものに変わります。
他にも存在壁量への準耐力壁等の算入や壁倍率の上限(5倍→7倍)
軸組の高さが3.2mを超える場合の壁倍率の低減の改定などがあります。
それでは改定内容を詳しくみていきましょう。
《 柱の小径の基準の見直し 》
〇建築物の荷重の実態に応じて、算定式により「柱の小径を算定」 又は 「小径別の柱の負担可能な床面積を算定」
〇小径の確認が不要な柱
⇒柱を拘束し、座屈防止効果が期待できる壁が取りつく場合、当該壁の取りつく方向(面内方向)について、面内方向の柱の小径の確認が不要となります。
〇構造計算による安全性確認の合理化
⇒木造の柱の構造耐力上の安全性を確かめるための構造計算の基準を定める件(平成12年建設省告示第1349号)に定める構造計算により安全性を確認した場合は、「柱の小径に関する基準の見直し」による柱の小径の確認が不要となります。
《 壁量基準の見直し 》
〇仕様の実況に応じた必要壁量の算定方法への見直し
⇒建築物の荷重の実態に応じて、算定式により、必要壁量を算定(軽い屋根・重い屋根の廃止)
⇒特定の仕様等の組合せを確認することで、必要壁量を容易に把握できる試算例(早見表)を整備。
⇒住宅の諸元(階高、床面積、屋根・外壁の仕様、積雪量、太陽光発電設備等の有無等)を入力することで、必要壁量を容易に算定できる設計支援(表計算)ツールを整備。
(※確認申請においては、基本的に、早見表や表計算ツールの出力結果の提出までは求められない)
〇存在壁量に準耐力壁等の考慮を可能化
⇒存在壁量として、耐力壁に加え、腰壁、垂れ壁等も考慮することが可能となります。
(※ただし、存在壁量に算入する準耐力壁等が各階および各方向の必要壁量の過半を超える場合には、全ての準耐力壁等の面材、木ずり等を固定する柱について折損等の脆性的な破壊が生じないことを確認する必要があります。)
〇高耐力壁を使用可能化
⇒高い耐力を有する壁に係る壁倍率の上限を引き上げ、当面の間、高い耐力を有する壁の周囲へ与える影響を考慮し、壁倍率は7倍までを上限とし、使用することが可能となります。
〇筋かいを入れた軸組の壁倍率の見直し等
⇒筋かいを入れた軸組の高さが一定の高さを超える場合、所定の壁倍率が発揮できなくなるため、筋かいを入れた軸組の高さが3.2mを超える場合には、通常の壁倍率に、以下の算定式により算出される数値αhを乗じた数値を当該軸組の壁倍率とすることとなります。ただし、柱間隔が大きく、数値αhが1.0を超える場合には数値αhを1.0とします。
**通常の壁倍率に乗ずる数値の算定式**
αh=3.5×Ld/H0
Ld :筋かいを入れた軸組における柱間の距離(mm)
H0:筋かいを入れた軸組の高さ(mm)
〇階高が3.2mを超える場合の柱頭・柱脚の接合方法の検証方法の見直し
⇒階高が3.2mを超える場合は、当該階の柱頭・柱脚の接合方法はN値計算法により検証を行うこととなります。
〇構造計算による安全性確認の合理化
⇒木造建築物について、建築物の構造部分が構造耐力上安全であることを確かめるための構造計算の基準を定める件(昭和62年建設省告示第1899号)に定める構造計算により安全性を確認する場合は、「壁量に関する基準の見直し」による確認が不要となります。
構造安全性の検証法の合理化
近年、建築物の断熱性向上等のために、階高を高くした建築物のニーズが高まっていることもあり、今までは「高さ13mを超える又は軒高9mを超える」木造建築物は一級建築士でなければ設計・監理ができなかったのですが、今回の法改正で「3階建て以下かつ高さ16m以下」の建築物については、二級建築士でも設計・監理が可能となり、
二級建築士でも設計可能な範囲が拡大され、より多くの建築士が木造建築物の設計に携わることができるようになります。
またその一方で、2階建て以下の木造建築物で構造計算が必要となる規模は延べ面積500㎡超えから300㎡超えに引き下げられました。
こちらにつきましては、コラム2025年法改正①「4号特例の縮小」をご覧いただますと幸いです。
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