コラム
公開日 2025.02.13
外皮性能計算の考え方
2025年4月以降に着工するすべての建築物に対して義務化される「省エネ基準」により格段に増える設計業務量にお悩みの方は少なくないと思います。
そもそも建築物の「省エネ」ってなに?と思ったことはないでしょうか。建築物の「省エネ」で大切なキーワードが2つ、「外皮性能計算」と「一次エネルギー消費量」
ここでは、そのうちのひとつ「外皮性能計算」の考え方について簡単に説明していきます。
🔳外皮性能計算とは
外皮性能計算は、建物のエネルギー効率を評価するために行う重要な計算で、主に断熱性能や日射取得、熱損失などを測定します。日本の建築基準法(省エネルギー基準)や、住宅や建物のエネルギー性能表示(ZEB、CASBEE、BELSなど)の計算にも関連しています。
外皮性能計算の基本的な考え方
1.外皮(外部表面)の定義
外皮とは、建物の壁、屋根、窓、床などの外部と接する部分を指します。これらの部分は、建物内部の空間と外部環境(気温や風、日射など)を隔てる役割を果たしています。
2.熱損失
外皮を通じて建物内部の熱が失われることを計算します。主に以下の要素が関係します。
・熱伝導(壁や屋根などを通る熱の移動)
・換気による熱損失(外気と室内空気の入れ替え)
・日射取得(窓から入る太陽光による熱の獲得)
3.外皮性能計算の要素
外皮性能を計算するためには、以下の要素を考慮します
・断熱材の種類や厚さ
・窓の種類(ガラスの種類や複層ガラス、窓枠の断熱性)
・建物の形状や配置
・気候条件(地域の気温、湿度、風など)
・換気方法(自然換気、機械換気など)
4.U値(熱貫流率)とQ値(熱損失量)
・U値:材料ごとの熱貫流率。外皮の各部分(壁、屋根、窓など)の熱の通りやすさを示します。U値が低いほど断熱性能が高いと言えます。
・Q値:建物全体での熱損失量を示し、通常は1時間あたりの熱損失を基準に計算します。
5.日射熱取得
窓から入る日射による熱の取得量を計算します。これには窓の向き、ガラスの種類、周囲の建物や環境の影響も考慮されます。冬季は日射を取り込み、夏季は遮ることが求められるため、計算は季節ごと(冷房期と暖房期)に行います。
6.熱負荷計算
外皮性能を元に、年間を通して必要な冷暖房負荷(熱負荷)を計算します。この値により、建物のエネルギー効率を評価します。
上記に記載した内容を加味して外皮性能を「UA値」として算出します。
「UA値」は以前のコラム省エネ計算にも記載しましたが、数値が少ないほど断熱性能が高くなります。
なお、計算にあたって、面積算出の根拠や使用している材料を明示することが必要になります。
さらに、使用している材料の性能を証明する書類の提出も必要になります。
ここまで見ると「外皮性能計算」をするには様々なことを考慮しながら多くの時間がかかりそうですね。
新しい法令への対応は省エネ計算をアウトソーシングすることである程度軽減可能です。
増え続ける設計業務の解決の手段のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
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