公開日 2025.09.08
木造構造計算(許容応力度計算)の代行費用相場は?代行会社の選び方を解説
木造構造計算とは、地震や積雪、風、積載荷重といった建物にかかる力(荷重)に対して、建物が安全に耐えられるかを計算するものです。
自然災害が多い日本では、建物の耐震・安全性への意識が高まっています。耐震性の指標となる「耐震等級」は、木造構造計算を行うことで取得できます。そんな建物の安全性を評価する木造構造計算は、2025年4月の法改正でほぼすべての木造住宅で計算実施が義務化されました。
このように需要が増える中で、「構造計算に対応できる担当者が自社内にいない」「人員が少なく、計算や申請業務が追いつかない」といったお悩みを抱えていませんか?木造構造計算業務を代行会社へ依頼することで、負担を減らし、業務の効率化を図ることができます。
この記事では、木造構造計算(許容応力度計算)の代行費用相場と、代行会社を選ぶ際のポイント、流れについて解説します。
木造構造計算とは?必要性と背景
木造構造計算とは、木造建築物が安全かつ耐久性を持って建築されるように、建物にかかる力(荷重)を計算し、構造的な安全性を確認する方法です。計算方法は、「仕様規定」「住宅性能表示計算」「許容応力度計算」の3つがあります。中でも、最も詳細に構造安全性を確認できるのが許容応力度計算です。
具体的には、地震や風、雪など外部から加わる荷重、骨組みや壁の重さといった自重、人や家具によって床にかかる荷重が、建物にどのように作用するかを計算し、柱や梁、基礎が十分に耐えられるかを確認します。
■法改正による木造構造計算の義務化
法律が改正され、2025年4月に施行された4号特例の縮小により、延床面積300㎡超の建築物の許容応力度計算が義務化されました。住宅でもほぼ全棟で構造審査が発生します。
■耐震等級の取得にも用いられる
地震への強さを示す指標「耐震等級」。国内で頻発する地震に備えるため、建築物の耐震性能向上のニーズが増え、耳にする機会も多くなりました。
耐震等級は、下記のように3段階に分けられています。
耐震等級1 |
耐震等級2 |
耐震等級3 |
|
耐震性 |
建築基準法で定められた最低基準 |
建築基準法基準の1.25倍の耐震性 |
建築基準法基準の1.5倍の耐震性 |
「住宅性能表示計算」または「許容応力度計算」で木造構造計算を行うことで、耐震等級2,3を取得することができます。ただし、同じ耐震等級でも簡易的な「住宅性能表示計算」よりも、詳細な計算を行う「許容応力度計算」の方がより安全性が高いです。
■木造構造計算を代行会社に依頼するメリット
義務化やニーズの増加といった背景から、木造構造計算の必要性は増しています。
木造構造計算を自社内で行うことも可能ですが、計算を行うには専門知識と時間が必要です。「木造構造計算の需要増加に対応できる社内のリソースがない」という状況にも陥りかねません。
そんなときに、時間がかかる構造計算を外注することで、顧客対応や設計・現場管理などメイン業務に注力することができるでしょう。代行会社によっては、計算業務以外の各種申請業務も請け負ってくれるので、木造構造計算に関わる業務をワンストップで依頼することもできます。
木造構造計算(許容応力度計算)の代行費用相場
今回は、もっとも建築物の安全性を計算でき、耐震等級の取得にも使える「許容応力度計算」をメインにご紹介します。
代行会社や地域にもよりますが、一般的な木造二階建て住宅の木造構造計算(許容応力度計算)の費用はおおよそ10万円〜と言われています。平屋・三階建てなどの仕様によっても変わるほか、規定の大きさを超えた場合は㎡数に応じての追加費用がかかるのが一般的です。特殊形状や積雪・風速などによる計算方法の変更がある場合は、都度見積もりになることも多いです。
さらに、代行会社によってその料金内でどこまで対応してくれるかはバラバラです。費用が安い会社は、料金内での対応範囲が狭く追加料金を請求されたり、柔軟な対応をしてくれなかったりする可能性があります。費用だけでなく、サービスの対応範囲ややりとりのスムーズさなど、複数社を比較して総合的に判断しましょう。
■木造構造計算(許容応力度計算)代行の主な作業内容
木造構造計算(許容応力度計算)の代行費用には、主に下記の作業内容が含まれています。
- 設計図書の確認
- 木造構造計算(許容応力度計算)
- 各種申請書の作成
- 設計変更による修正・再計算対応
他にも、代行会社によっては、各種申請サポートや計算結果を踏まえた性能向上の提案も行っています。追加料金となる場合もあるため、内容と費用を合わせて確認しましょう。
木造構造計算(許容応力度計算)の代行費用が変動する要因
複数社に見積もり依頼をした際、見積金額が大きく異なることがあります。その理由を理解しておくと、見積もりを比較する際に役立ちます。
■建物規模・構造・用途による違い
床面積が大きくなったり、階層が高くなったりするほど、計算対象となる部位や設備が増加し工数が増えやすいです。同じ面積であっても、平屋と三階建て住宅では費用が変わることがあります。
また、小屋裏収納やスキップフロアなど、特殊な仕様で設計されている場合も追加費用の対象となりやすいです。
■修正(再計算)対応の有無
設計段階で図面が整っている場合はスムーズに計算できますが、不足が多いと再度の問い合わせや修正作業が必要となり、それに伴って追加費用が発生することがあります。特に実務では「再計算依頼」が発生する場合があり、「何回までは費用内、それ以上は追加費用」といった料金形態を取っている代行会社もあります。
■納期や追加サービスによる加算
工期が迫っている場合、スピード感のある木造構造計算対応はとても魅力的です。ただし、通常の納期よりも短い納期で依頼する場合、特急対応費として追加料金を請求されるケースもあります。また、長期優良住宅や住宅性能評価など各種申請の対応が標準料金に入っていない場合、追加のサービス対応として費用が加算される場合があります。
木造構造計算(許容応力度計算)代行会社を選ぶ際のポイント
費用だけで判断せず、対応スピードやサポートの質も見極めることが重要です。ここでは、代行会社を選ぶ際のチェックポイントをお伝えします。
1.納期や対応スピードを確認
費用が安価な会社でも、作業内容の質や納期の厳守など、しっかりとした対応がされなければ安心して依頼することができません。対応の遅れは工事スケジュール全体に影響を及ぼすため、依頼前にどのくらいの納期で対応してくれるのか、見積もり依頼の時点で担当者とのやり取りがスムーズにできるかを確認してから依頼することをおすすめします。
2.計算結果の申請・届出対応の可否
木造構造計算をした上で、長期優良住宅や住宅性能評価など各種申請が必要な場合があります。代行会社によって、対応範囲が計算のみか、その後の申請も依頼できるかどうかは異なります。単純に計算だけで終わる会社もあれば、長期優良住宅申請、設計住宅性能評価などの申請サポートまで一括対応してくれる会社もあるため、どこまで対応してくれるのかを依頼前に確認しておきましょう。
3.十分な実績があるか
これまでの対応経験が豊富かどうかは、会社選びの基準になります。対応案件数が多ければ、それだけノウハウがある会社だと判断しやすいです。また、過去の担当案件の規模・用途を見て、依頼したい建築物と同規模の木造構造計算実績があると安心です。
4.費用が明確か
「再計算は何回まで含まれるか」「特急対応はいくら加算されるか」「申請サポートは対応可能か」といった条件は、代行会社によって異なります。見積もりの段階で、費用内でできることと、オプションとして追加料金になるものを明確にしておきましょう。「基本料金が安いから」という理由で会社を選んでも、実際は依頼したい作業が基本料金に含まれておらず、「後から追加料金が増えてしまった」ということもあり得ます。見積もり時点で依頼内容のすり合わせをし、納得できる費用を提示してくれる会社を選びましょう。
木造構造計算(許容応力度計算)代行の流れ
木造構造計算(許容応力度計算)を代行会社に依頼する場合、どのようなプロセスで進むのかを事前に把握しておくとスムーズです。具体的な流れは代行会社によって変わりますが、ここでは一般的な流れを紹介します。
【ステップ1】お問い合わせ・見積もり依頼
まずは建物の規模や用途、計算対象となる範囲を代行会社に伝え、見積もりを依頼します。この段階で、設計図面などの必要資料を提出するのが一般的です。木造構造計算だけでなくその後の申請・届出業務まで依頼したい場合は、その旨を伝えておくと見積もりに含めてくれるでしょう。
【ステップ2】見積もり提示・追加資料提出
提出した図面や希望納期、相談内容を踏まえ、代行会社が見積もりを提示します。見積もりに納得したら、正式に依頼する際に、改めて木造構造計算に必要な詳細資料の提出が再度求められます。
【ステップ3】木造構造計算(許容応力度計算)の実施
情報が揃った段階で、木造構造計算が行われます。これにより、地震・積雪・強風などに対応できる安全な建物かを評価します。
【ステップ4】計算結果の提示
計算結果が報告されます。必要に応じて、計算結果の確認後に修正(再計算)を実施。最終的な計算結果を基に、確認申請や性能を証明するための申請書類が作成されます。
【ステップ5】審査機関への申請・届出対応
代行会社によっては、計算後の申請・届出を依頼することができます。申請機関のやりとりは時間と労力を要するため、ワンストップで対応してくれる代行会社だとスムーズです。
まとめ:木造構造計算(許容応力度計算)の代行相場を理解して、信頼できる会社に賢く依頼
木造構造計算代行の義務化と、耐震性の高い安全な住宅への需要の高まりも相まって、木造構造計算の対応も増えています。木造構造計算を代行会社に依頼することで、他のメイン業務に集中できるようになるでしょう。
木造構造計算(許容応力度計算)代行の費用相場は、一般的な木造二階建て住宅の木造構造計算の費用はおおよそ10万円〜と言われています。その代行会社や、建物の規模、対応する作業範囲によっては数十万円以上規模に膨らむこともあります。代行会社のサービス内容を理解し、費用だけでなく対応力・実績・スピードを基準に、信頼できる代行会社を選びましょう。
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木造構造計算を代行会社に依頼するなら、ぜひ木造構造省エネ計算サポートセンターにお任せください。
木造構造省エネ計算サポートセンターでは、耐震等級を取得するための木造構造計算(許容応力度計算)の計算はもちろん、長期優良住宅・住宅性能表示などの各種申請・届出のサポートもお任せいただけます。
木造構造省エネ計算サポートセンターの木造構造計算代行サービスの内容・費用については、下記のページをご覧ください。
▼木造構造計算代行サービス
https://mokuzou-support.com/wooden_structure/
▼お問い合わせはこちら
https://mokuzou-support.com/contact/
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執筆:サポートセンター省エネ室 小川(二級建築士) 外皮計算・一次エネルギー消費量計算を年間120棟以上担当 建築基準法や各種申請にも精通したオールラウンダー |
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