コラム
公開日 2025.01.24
柱の直下率の重要性
柱の直下率の重要性について考えたことはありますか?
柱の直下率を高めることにより、少ない耐力壁で耐震等級を確保できたり梁せいの大きな梁を少なくできたりと様々なメリットが生まれてきます。
今回のコラムでは、柱の直下率の重要性について解説していきたいと思います。
柱の直下率とは、建物の柱が上部構造に対してどれだけ垂直に、直下に配置されているのかを示す割合のことを指します。
ちなみに、仕様規定(建築基準法)は直下率50%以上を前提として規定されたと言われています。
柱の直下率がなぜ重要なのか少し考えてみましょう。
木造住宅では、柱と梁が主要な構造要素となり、木造住宅における応力の伝達方法として以下のようなものがあります。
◇柱と梁による応力伝達
屋根や上階からの荷重が梁によって柱に伝えられ、その荷重はさらに基礎に伝達され分散されていきます。
◇耐力壁による応力伝達
耐力壁(筋かいや耐力面材など)は、水平力(地震や風など)を受けて、応力を梁と柱に伝える役割を果たします。
このように荷重や応力は、梁や耐力壁等を介して最終的に柱へ伝達され基礎に伝わり分散されていきます。
荷重は直線的に上下方向に伝わるので柱が上下階で揃った位置に配置されていると最も効率よく応力の伝達ができます。
柱の直下率の重要性で大きく関わってくるのが後述の、耐力壁にによる応力伝達です。
例えば、木造住宅二階建てにて、上階に耐力壁があるけど、その耐力壁両端の柱の直下に柱がない状態(1階にLDK配置の計画で多く見られますよね)だと、下階柱への応力の伝達しづらくなってしまいます。
その結果として、耐力壁の負担できる水平力は低減されてしまい、必要壁量が増えてしまい、さらに耐力壁で受けた水平力に耐えうるだけの強度を持った梁が必要になるので、梁は自ずと大きくなってしまうという事象が発生します。
梁が大きくなってしまうことで、予定していた天井高さが確保できなくなってしまったり、一種換気設備やレンジフードのダクトが通らなくなってしまったり、電気配線が通らなくなったり、そもそも構造体に掛かる費用が大きくなってしまうなど、意匠的だけでは済まない問題も発生することがあります。
実際に柱の直下率が低い建物で許容応力度計算にて耐震等級の確保を目指そうとすると、壁量が足りず、窓を小さくするなどの策を講じて、壁量の確保が必要になったり、梁せいを求めてみると、予想よりもはるかに大きくなってしまい天井高さを下げたり、一種換気のダクトルートの再検討を余儀なくされた事案も過去にありました。
それでも、耐震等級が確保できない場合は、等級を3から2に変更して検討するということもありました・・・
対して柱の直下率が高い(90%程度)の建物で許容応力度計算を行ったときには、外周面材にて耐力壁を確保せずとも、筋かいのみの施工で耐震等級3の確保ができました。
大きな梁せいが頻発することもないので天井高さの確保、ダクトルートの検討、排水経路の検討など様々な施工的要素でもスムーズに建築ができました。
しかも、その建物は木造三階建です。
柱の直下率を高めて許容応力度計算を行うことにより少ない費用で耐震等級の確保ができるようになります。
どうでしょうか?柱の直下率の重要性について知ることができたでしょうか?
ここまで読んでいただいた皆様に少しでも柱の直下率の重要性について考えていただけたならとても嬉しく思います。
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