コラム
公開日 2025.02.19
告示壁と認定壁
【告示壁と認定壁】
面材系の耐力壁の分類を指す言葉ですが違いをご存知でしょうか?
本コラムでは、木造住宅にて多く使用されている面材系の耐力壁(構造用合板・石膏ボード・各メーカーが販売している耐力面材など…)について、それぞれ比較などをしながら掘り下げてみようと思います。
まず、耐力壁には告示1100号に定められているもの、いわゆる告示壁(こくじかべ)、の他に認定系(住指発、大臣認定)のものがあります。
認定系の住指発(じゅうしはつ)は建設省住宅局建築指導課長が発出した通達のことで、「昭和〇〇年住指発××号」などの認定番号がついている耐力壁があり、大臣認定は「FRM-○○」などの認定番号がついている耐力壁があります。
ちなみに使用頻度の高い、筋交いは厚さや幅に関わらず告示壁に分類されます。
面材系の告示壁、認定壁を比較してみましょう。(参考として筋交いも比較してみます。)
まず、告示壁と認定壁では耐力壁として有効な壁長が異なります。
・筋交い:900~2000㎜
・面材系(告示壁):600~2000㎜
・面材系(認定壁):910㎜・1000㎜ (モジュールの単位長さ:1P)
認定壁はほとんどの商品が1Pもしくは2Pでの認定となっていますが、告示壁は壁長に細かな仕様がないのです。
次はタテ・ヨコ比(アスペクト比)を比べてみます。
・筋交い 1:3.5(壁長910㎜の場合は、高さ3185㎜まで)
・面材系(告示壁) 1:5(壁長910㎜の場合は、高さ4550㎜まで)
・面材系(認定壁) 各商品の認定数値による
こちらも告示壁の適用範囲が大きくなっています。
※認定壁は各商品によりますが告示壁の1:5まで適用できるのは今まで扱ったことがありません。
そして告示壁は、面材を留めつける釘などの種類や留め付けピッチなどの調整により、より高い壁倍率のバリエーションがあるのです。
また、認定壁でも使用している材料により、構造用MDFや構造用パーティクルボードに分類でき、告示壁と認定壁のどちらでも施工をすることができるという商品もあります。
書き出したように告示壁は認定壁よりも格段に適用範囲が広いのです。
では、告示壁を採用し、許容応力度計算を行い耐震等級3を確保した際の例をあげてみます。
・筋交い及び認定壁だけだと壁量がわずかに足りなかったが、奥行600の収納等の袖壁に告示壁を設けて壁量を確保した。
・建物の南面には窓が多く北面には窓が少なく、壁量の偏心率の検定がなかなか厳しかったが、南面を壁倍率の高い告示壁、北面を壁倍率の低い告示壁にすることにより壁量の偏心率を小さくした。
・天井高をなるべく高くしたくて階高を大きくしたが、横架材間距離が大きくなり、認定壁の適用範囲から外れてしまうので認定壁から告示壁に変更し対応した。
【告示壁】すごいですね…..
ですが告示壁の使用には少し注意点があるのです。
それは、現場管理及び施工の難易度が高くなってしまいます。
例えば基本的に認定壁で許容応力度計算を行ったが部分的に告示壁に仕様変更し耐震等級3を確保した場合。(使用面材は同じ商品)
各メーカーが販売している耐力面材には、それぞれで認定取得した仕様で面材そのものに釘を打つ場所にマークが施されているものも多く存在します。
これにより、許容応力度計算では告示壁にて検討しているが実際の現場では認定壁で施工してしまい、構造計算書と現場で齟齬が生まれてしまうというケースが考えられます。
他には、建物全体として告示壁仕様ではあるが部分的に留め付けピッチを変更し、高倍率にて許容応力度計算していたがそれに気づかずに施工してしまった。など…
少し使うのを躊躇してしまうかもしれませんね。
告示壁と認定壁について理解を深めることができたでしょうか?
今後は耐震等級3を確保する上で大切な知識に対するコラムも書いていこうかと思いますので時折覗いてみてもらえると嬉しく思います。
———————————————————————————————-
☆許容応力度計算なら木造構造省エネ計算サポートセンターにお任せ☆
貴社の設計業務量を抑えつつ、耐震性能を担保することができます。
長期優良住宅や設計住宅性能評価取得もワンストップでお任せいただけます。
お問い合わせ
お電話はこちらから
025-384-8805