公開日 2025.08.28
省エネ計算代行費用の相場は?代行会社の選び方を解説
省エネ計算とは、建物が消費するエネルギー量を計算し、国が定める省エネ基準に適合しているかを確認するための方法です。建物の断熱性能や設備機器のエネルギー効率を分析して、省エネ性能を数値化します。2025年4月には省エネ基準への適合性判定が義務化され、建築確認の過程で省エネ適合性判定(省エネ適判)が必要になります。そのため、建設業界での省エネ計算の必要性は高まっています。
そのような中で、「省エネ計算に対応できる担当者が自社内にいない」「人員が少なく、計算や申請業務が追いつかない」といったお悩みを抱えていませんか?省エネ計算業務を代行会社へ依頼することで、負担を減らし、業務の効率化を図ることができます。
この記事では、省エネ計算代行の費用相場と、代行会社を選ぶ際のポイント、流れについて解説します。
省エネ計算とは?必要性と背景
そもそも、省エネ計算は、建物の断熱性能を評価する外皮性能計算と、建物で消費されるエネルギー量を見積もる一次エネルギー消費量計算の2つを組み合わせて行います。省エネ住宅は日常生活の中で冷暖房コストを抑えられるだけでなく、省エネ計算の結果を基にZEH住宅や長期優良住宅に認定されると、補助金の交付や減税を受けられるメリットがあります。
■住宅・建築物における省エネ基準への適合義務化
建物を建設する前には、省エネ基準への「適合性判定」が必要となります。2025年4月に施行された4号特例の縮小により、住宅を含む原則すべての建築物に、省エネ基準への適合が義務付けられました。そのため、施行前と比べ、省エネ計算の必要性がさらに高まっています。
■省エネ計算を代行会社に依頼するメリット
自社内で省エネ計算を行うには、専用ソフトの導入や専門的な知識を持つ社内担当者が必要で、時間・労力がかかります。代行会社に依頼することで、業務負担を減らし、かつ専門知識を持つスタッフによる正確な計算結果を受け取ることができます。また、代行会社によっては、計算後の申請・届出業務を依頼することもでき、計算〜申請対応までをワンストップで外注することができます。
計算業務を代行会社に外注することで、意匠設計やお客様との打ち合わせといったメイン業務に注力することができるでしょう。
省エネ計算代行費用の相場
代行会社にもよりますが、一般的な大きさの木造住宅で4万円前後と言われています。なお、規定の大きさを超えた場合は㎡数に応じての追加費用がかかるのが一般的です。特殊形状などは都度見積もりになることも多いです。
ただし、代行会社によって、その料金内でどこまで対応してくれるかはバラバラです。費用が安い会社は、料金内での対応範囲が狭く追加料金を請求されたり、柔軟な対応をしてくれなかったりする可能性があります。費用だけでなく、サービスの対応範囲ややりとりのスムーズさなど、複数社を比較して総合的に判断しましょう。
■省エネ計算代行の主な作業内容
代行費用には、主に下記の作業内容が含まれています。
- 設計図書の確認
- 仕様規定準拠書類の作成
- 外皮性能計算(UA値)
- 一次エネルギー消費量計算(BEI)
- 各種申請書の作成
- 設計変更による修正・再計算対応
他にも、代行会社によっては、各種申請サポートや、計算結果を踏まえた性能向上の提案も行っています。追加料金となる場合もあるため、内容と費用をあわせて確認しましょう。
省エネ計算代行の費用が変動する要因
複数社に見積もり依頼をした際、見積金額が大きく異なることがあります。その理由を理解しておくと、見積もりを比較する際に役立ちます。
■建物規模・構造・用途による違い
床面積が大きくなったり、階層が高くなったりするほど、計算対象となる部位や設備が増加し、工数が増えやすいです。同じ面積であっても、平屋と三階建て住宅では費用が変わることがあります。
また、木造・コンクリート造など構造の違いや、住居・非住宅(店舗など)の建物用途の違いによっても、対応可否や費用が変わる場合があります。
■修正(再計算)対応の有無
設計段階で図面が整っている場合はスムーズに計算できますが、不足が多いと再度の問い合わせや修正作業が必要となり、それに伴って追加費用が発生することがあります。特に実務では「再計算依頼」が発生する場合があり、「何回までは費用内、それ以上は追加費用」といった料金形態を取っている代行会社もあります。
■納期や追加サービスによる加算
工期が迫っている場合、スピード感のある省エネ計算対応はとても魅力的です。ただし、通常の納期よりも短い納期で依頼する場合、特急対応費として追加料金を請求されるケースもあります。また、補助金申請などの対応が標準料金に入っていない場合、追加のサービス対応にも費用が加算される場合があります。
省エネ計算代行会社を選ぶ際のポイント
費用だけで判断せず、対応スピードやサポートの質も見極めることが重要です。ここでは、代行会社を選ぶ際のチェックポイントをお伝えします。
1.納期や対応スピードを確認
費用が安価な会社でも、作業内容の質や納期の厳守など、しっかりとした対応がされなければ安心して依頼することができません。対応の遅れは工事スケジュール全体に影響を及ぼすため、依頼前にどのくらいの納期で対応してくれるのか、見積もり依頼の時点で担当者とのやり取りがスムーズにできるかを確認してから依頼することをおすすめします。
2.計算結果の申請・届出対応の可否
省エネ計算の結果は、最終的に申請や届出が必要です。対応範囲が計算のみか、その後の申請にも対応できるかどうかは代行会社によって異なります。単なる計算だけで終わる会社もあれば、適合性判定や、長期優良住宅申請、設計住宅性能評価、BELS等の申請など各種申請サポートまで一括対応してくれる会社もあるため、どこまで対応してくれるのかを依頼前に確認しておきましょう。
3.十分な実績があるか
これまでの対応経験が豊富かどうかは、会社選びの基準になります。対応案件数が多ければ、それだけノウハウがある会社だと判断しやすいです。また、過去の担当案件の規模・用途を見て、依頼したい建築物と同規模の省エネ計算実績があると安心です。
4.費用が明確か
「再計算は何回まで含まれるか」「特急対応はいくら加算されるか」「申請サポートは対応可能か」といった条件は、代行会社によって異なります。見積もりの段階で、費用内でできることと、オプションとして追加料金になるものを明確にしておきましょう。「基本料金が安いから」という理由で会社を選んでも、実際は依頼したい作業が基本料金に含まれておらず、「後から追加料金が増えてしまった」ということもあり得ます。見積もり時点で依頼内容のすり合わせをし、納得できる費用を提示してくれる会社を選びましょう。
省エネ計算代行の流れ
省エネ計算を代行会社に依頼する場合、どのようなプロセスで進むのかを事前に把握しておくとスムーズです。具体的な流れは代行会社によって変わりますが、ここでは一般的な流れを紹介します。
【ステップ1】お問い合わせ・見積もり依頼
まずは建物の規模や用途、計算対象となる範囲を代行会社に伝え、見積もりを依頼します。この段階で、設計図面などの必要資料を提出するのが一般的です。省エネ計算だけでなくその後の申請・届出業務まで依頼したい場合は、その旨を伝えておくと見積もりに含めてくれるでしょう。
【ステップ2】見積もり提示・追加資料提出
提出した図面や希望納期、相談内容を踏まえ、代行会社が見積もりを提示します。見積もりに納得したら、正式に依頼する際に、省エネ計算に必要な詳細資料の提出が再度求められます。
【ステップ3】省エネ計算の実施(外皮性能計算・一次エネルギー消費量計算)
情報が揃った段階で、外皮性能計算と一次エネルギー消費量計算が行われます。これにより、建物の断熱性能と設備を含めた総合的なエネルギー性能が数値化され、省エネ基準を満たしているか判定されます。
【ステップ4】計算結果の提示
計算結果が提示されます。必要に応じて、計算結果の確認後に修正(再計算)を実施。最終的な計算結果を基に、確認申請や性能を証明するための申請書類が作成されます。
【ステップ5】審査機関への申請・届出対応
代行会社によっては、計算後の申請・届出を依頼することができます。申請機関のやりとりは時間と労力を要するため、ワンストップで対応してくれる代行会社だとスムーズです。
まとめ:省エネ計算代行の相場を理解して、信頼できる会社に賢く依頼
省エネ基準への適合義務化と、省エネ住宅への需要の高まりも相まって、省エネ計算(外皮性能計算・一次エネルギー消費量計算)の対応も増えています。省エネ計算を代行会社に依頼することで、他のメイン業務に集中できるようになるでしょう。
省エネ計算代行の費用相場は、一般的な大きさの木造住宅で4万円前後が目安ですが、その会社や、建物の規模、対応する作業範囲によっては10万円以上規模に膨らむこともあります。代行会社のサービス内容を理解し、費用だけでなく対応力・実績・スピードを基準に、信頼できる代行会社を選びましょう。
☆省エネ計算なら木造構造省エネ計算サポートセンターにお任せ☆
省エネ計算を代行会社に依頼するなら、ぜひ木造構造省エネ計算サポートセンターにお任せください。
木造構造省エネ計算サポートセンターでは、省エネ基準適合に必要な「外皮性能」と「一次エネルギー消費量」の計算はもちろん、各種申請・届出のサポートもお任せいただけます。
木造構造省エネ計算サポートセンターの省エネ計算代行サービスの内容・費用については、下記のページをご覧ください。
▼省エネ計算代行サービス
https://mokuzou-support.com/energy_saving/
▼お問い合わせはこちら
https://mokuzou-support.com/contact/
![]() |
執筆:サポートセンター省エネ室 小川(二級建築士) 外皮計算・一次エネルギー消費量計算を年間120棟以上担当 建築基準法や各種申請にも精通したオールラウンダー |
お問い合わせ
お電話はこちらから
025-384-8805