公開日 2025.10.17
省エネ適合性判定とは?
4月の法改正から2カ月が経ちました。
確認申請の提出書類が増えたり図面の書き込みが増えたりと忙しい日が続いていると思います。
今回は4月の法改正から提出する機会が増えてきた「省エネ適合性判定」について説明していきたいと思います。
■省エネ適合性判定とは?
地球温暖化対策として、日本は2030年に温室効果ガス46%排出削減(2013年度比)、2050年カーボンニュートラルを目標に掲げています。
その実現に向けて、国内で様々な取り組みが行われています。中でも建築分野におけるエネルギー消費が全体の約3割を占めていることから、2015年に建築物の省エネ基準を定めた「建築物省エネ法」が施行されました。
この省エネ基準に適合しているか判定することを「省エネ適合性判定」といいます。「省エネ適判」はその略称です。
2025年4月の法改正により4月1日以降に着工する全ての住宅・非住宅は原則として建築物エネルギー消費性能確保計画(省エネ計画)を作成し、工事着手の前に登録省エネ判定機関等に適合判定を受けることが義務付けられました。
省エネ適合判定は、建築基準法に基づく建築確認及び完了検査の対象となり、省エネ基準に適合していなければ確認済証や検査済証の交付を受けることができないのです。
※一定の条件を満たすと省略することが可能です。
■適合義務の基準について
適合義務の対象となる省エネ基準は、一次エネルギー消費量の基準のみとなります。※住宅の場合は外皮性能の基準も含みます
ただ、非住宅用途は一次エネルギー消費量の計算を行う上で、外皮性能に係る事項を入力する必要がありますので、外皮性能にも考慮しなければなりません。
判定対象となる一次エネルギー消費量とは「空調設備」「機械換気設備」「照明設備」「給湯設備」「昇降機」のエネルギー消費量を合計して算出します。
省エネ適合性判定に用いられる指標である「BEI」は下記の計算式で表されます。
BEI=設計一次エネルギー消費量÷基準一次エネルギー消費量
BEIは標準的な仕様の建築物に比べて、どれくらいエネルギー消費量を抑えられているかを表す指標です。よって、1.0以下であれば標準より省エネ性能に優れた建築物ということになります。
省エネ適合性判定を適合させるにはBEIが1.0以下になる必要があります。(新築および既存建築物の増改築)
■申請の流れ
① 建築確認申請
まず、建築主が建築主事又は指定確認検査機関に建築確認申請を行います。
② 省エネ計画書類提出(①と同時提出が多いと思います)
所管行政庁又は登録省エネ判定機関に省エネ基準に適合した省エネ計画書類を提出して、審査を依頼します。
③ 省エネ適合判定通知書の交付
所管行政庁又は登録省エネ判定機関が提出書類を審査します。
そこで省エネ基準に適合していると判定されれば、省エネ適合判定通知書を交付します。
④ 省エネ適合判定通知書の提出
建築主が建築確認申請を行った建築主事又は指定確認検査機関に省エネ適合判定通知書を提出します。
⑤ 確認済証の交付
建築主事又は指定確認検査機関が、省エネ適合判定通知書と建築確認申請書の整合性を確認後、確認済証を交付します。
これでようやく着工することができます。
注意が必要なのは長期優良住宅や設計住宅性能評価と違い省エネ基準適合義務のある建築物の場合、完了検査時にも省エネ適合性判定を行った計画書の検査を受ける必要があります。
省エネ適合性判定にかかる項目に変更がなければ、そのまま検査を受けられます。ただし、計画変更や軽微な変更がある場合は手続きが必要です。
軽微な変更には内容によって3つのルート(A・B・C)に分かれます。
ルートCの場合は、完了検査申請前に所管行政庁又は登録省エネ判定機関に軽微変更該当証明申請を行って、証明書の交付を受ける必要があります。「軽微な変更説明書」と「軽微変更該当証明書」を提出することで、完了検査を受けることが可能になります。
変更が生じた場合は早い段階で相談することをおすすめします。
日本では、温室効果ガス削減のための様々な取り組みが行われています。
2030年にはさらに省エネ基準が厳しくなる予定です。
省エネ適合性判定は、今後建築物を作る際に必須となることを覚えておきましょう。
新しい法令への対応や高度化する省エネ計算・認定水準はアウトソーシングすることである程度業務軽減が可能です。
増え続ける設計業務の解決の手段のひとつとして、検討してみてはいかがでしょうか。
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執筆:サポートセンター省エネ室 小川(二級建築士) 外皮計算・一次エネルギー消費量計算を年間120棟以上担当 建築基準法や各種申請にも精通したオールラウンダー |
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執筆:サポートセンター省エネ室 小川(二級建築士)
外皮計算・一次エネルギー消費量計算を年間120棟以上担当 |
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